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皆さまこんにちは。
2018年最後の「ADPAニュースレター」をお届けします。

まずは先回のペーシングです。

…「傾聴」とは、言葉だけではなく、相手の表情や態度などの非言語メッセージにも注目して、相手の気持ちなどをキャッチする聴き方です。
人間は、自分に寄り添い、同じ目線に立って話を聴いてくれる相手がいると、安心して本音を語ることができます。
自由に話すことができ、しっかり受け止めてもらうと、自分でも思いがけないことを話し「口に出してみると、自分がそんなことを考えていることに初めて気づいた」ということが起こります。
傾聴するだけでも、このようなコーチングの効果は表れてきます…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
http://adpa.site/news_letter/

今回のニュースレターは「承認」についてお話します。

コミュニケーションの土台「ラポール」

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コミュニケーションにおいて最も大事なものは「ラポール」です。

「ラポール」とは「信頼関係」「心のつながり」「親密さ」という意味で使われます。

信頼関係がある人と無い人では、同じ言葉でも受け止め方が違います。
どんなに正論でも、嫌いな人から言われたら受け入れ難いし、耳の痛い話でも信頼している人から言われたら、受け止めたり、それについて考えることができます。
  • ラポールが無い状態:心を閉ざす、自分を守る、緊張、エネルギーの消耗
  • ラポールがある関係:心を開いている、リラックスしている、相手に身をゆだねる、無防備、楽
このように、ラポールはコーチングに限らず、良好な人間関係を作る土台となります。

では、ラポールはどのように構築されるのでしょうか?

「ラポール」の作り方

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コーチングのスキルに「ミラーリング」「ペーシング」があります。
  • ミラーリング:相手と動作やしぐさを合わせる
  • ペーシング:相手のペース(話し方・呼吸・リズム・スピード等)に合わせる
これらは意図的にラポールを作る一つの手段になりますが、もっと本質的にラポールを構築するためには、私の「人間としての在り方」が重要になってきます。
それが今回のテーマ「承認」です。

承認とは、評価をせずに「ありのままの相手をそのまま受け入れる」ことです。
承認は「褒める」こととは違います。

例えば、親が子供に「頑張ったとき」「良くできたとき」だけ褒めたらどうなるでしょうか?

子どもは「頑張らないと認めてもらえない」「何かができないと認めてもらえない」と、刷り込まれてしまうかもしれません。

大人の社会でも、褒めるという行為は、その人の個人的な価値観で評価することに繋がり、上から目線になったり、的外れな評価だった場合、人間関係に支障がでます。

承認は、評価をせず、肯定・否定に関わらず事実や存在そのものを受け入れ認めることです。

人は承認されることで、安心感を持ち、自分自身をより信頼する気持ちが生まれ、次の目標に向かう前向きな行動に繋がります。

「承認」とは

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コーチングでは承認にもレベルがあると考えます。
  • 存在承認:その人の存在そのものを承認する
  • 意欲承認(意識承認):行動の動機を承認する
  • 行動承認:結果に関係なく行動自体を承認する
  • 結果承認:作り出した成果を承認する
分かりやすく親子の例で説明します。

◇ お皿を落として割ってしまった子供に
× 何してるの、ダメじゃない(行動や結果を評価)
○ 片付けようとしてくれたんだね(意欲承認)
→ その子の動機を受け止め、理解してあげる

◇ スポーツに打ち込んでいる子供に
× 毎日グラウンドを走っていてえらいね(褒める)
○ 毎日グラウンドを走っているね(行動承認)
→ 褒められたくて走っているでしょうか?

◇ テストの結果が80点だった
× よくできたね(褒める)、残念だったね(評価)
○ 80点だったね(結果承認)
→ 事実のみを伝える
もし、本人の目標や頑張りがあった場合は、「前回より10点上がったね」「目標の80点がとれたね」など、評価を加えず事実のみを伝えます。

私たちコーチが目指す承認は最も深いレベルの「存在承認」です。
上記3つの承認は、何かを考えたり行動した内容に対する承認ですが、存在承認は、何かをしてもしなくても、その人の存在そのものを承認することです。

「あなたがいてくれるだけで私は嬉しい」という承認です。
親が子供を想う気持ちや、祖父母の「孫は何をしても可愛い」という心情に近いかもしれません。

「存在承認」の効果

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ドイツの作家ミヒャエル・エンデの「モモ」という作品に、以下の一文があります。

"彼女はじっと座って、注意深く聞いているだけです。その大きな黒い目は相手をじっとみつめています。
すると相手には自分のどこにそんなものがひそんでいたのかと驚くような考えがすうっと浮かびあがってくるのです。
モモに話を聞いてもらっていると、急に自分の意志がはっきりしてきます。急に目の前が開け勇気が出てきます。希望が湧いてきます"

「『モモ』ミヒャエル・エンデ著 大島かおり訳(岩波少年文庫)」より

モモは無学な少女で、大人にアドバイスができるような能力はありません。
しかし、モモの関わりの中に人間変容の本質が秘められています。

モモの中には、相手を否定する価値観がありません。「良い・悪い」の評価をせず、ただ純粋な好奇心で話を聴くだけです。

だからこそ相手を深く理解することができます。
これが「存在承認」の関わりだと思います。

人間は存在そのものを受け入れられたと感じる時に、全てを許され、解放された気持ちになることができます。
深い理解にはプログラムを外す力さえあります。

私たちは、自分の価値観を手放すことはなかなか難しいかもしれません。
しかし、一旦その価値観を保留にして、出来るだけ純粋な好奇心を持って、相手の話に耳を傾けると、今まで知らなかった世界観との出会いや、深い相互理解を体験できるかもしれません。
文責:相澤雅夫
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