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皆さまこんにちは。
「ADPAニュースレター」2019年4月号(Vol.011)をお届けします。

まずは先回のペーシングです。

…質問には、人間の脳の特徴である「焦点を動かすこと」と、「脳に空白(わからないこと)を作る」という働きがあります。
人間は、脳の空白を顕在意識で埋められない場合、莫大なパワーを秘めている潜在意識を使って答えを出すことに力を尽くします。
今までにない「焦点」と「空白」が気づきを生み、「焦点」と「空白」の質が人生の質を決定すると言っても過言ではありません…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
https://adpa.site/news_letter/

今回のニュースレターのテーマは「共感」です。

「共感」とは

共感
コーチングのスキルの中でベースとなるものは「傾聴」と「共感」です。

「傾聴」については以前少し書きましたので、今回は「共感」について考えてみます。
傾聴:https://adpa.site/coaching/active-listening/

誰かの話を聴いて、「あぁ、分かるその気持ち。私もそういうことがあった」。
こんな感覚が一般的な共感の捉え方でしょうか。

しかしコーチングで言う「共感」は違います。
上記の「あぁ、分かるその気持ち…」は、私が感じている気持ちであって、相手の気持ちとイコールではありません。

人は皆違うことを考えています。生きている世界が違い、生い立ちも、経験も能力も事情も違います。
同じ体験をしても感じ方が違います。

つまり、相手の立場に立って、その人の感性で感じてみることがコーチングでいう「共感」になります。

「同情」と「感情移入」

同情と感情移入
「共感」は「同情」や「感情移入」とも異なります。

◇ 同情
同情は、恵まれない境遇であったり、ネガティブな感情を持つ相手に対して、「かわいそう」とか「助けてあげたい」などと思うことです。
ここで感じている気持ちはあくまでも私の感情であって、相手の気持ちを感じる「共感」ではありません。

同情自体は悪い事ではありませんが、相手を「かわいそう」な存在と見ることは、今置かれている状況の「肯定的意図」に気づけなくなったり、「助けてあげなければいけない」存在と見ることは、相手の可能性を否定したり、成長を妨げる行為に繋がる危険があり、コーチングが成り立たなくなります。

◇ 感情移入
感情移入は、相手の状況や体験を、あたかも自分が体験しているかのように感じることです。

映画を観ながら、ハラハラドキドキ、泣いたり笑ったりするのは、主人公に感情移入しているからです。

この感情も、自分が勝手に感じているのであって「共感」とは異なります。

人間は動植物や芸術作品などの物に感情移入することも出来ますが、例えば「悲しそうなぬいぐるみ」という場合、私が勝手に「悲しそう」と感じているのであって、当然ぬいぐるみが悲しんでいるわけではありません。

このように感情移入はあくまでも私の感情ですが、相手が人になると、自分なのか相手なのか区別がつきにくくなり、しばしば誤解が生じます。

感情移入が高じると「私がこんなに苦しいのはあの人のせい」という問題に発展するケースもあります。

人間理解に必要な「共感」

共感
コーチングで言う「共感」は、「この人だったらどう感じるだろう」と、出来る限りその人の立場、能力、感性、人間性を踏まえて感情を味わい、理解を深めることです。

当然自分には理解できない体験談もあります。
その際は「その状況になるとどんな気持ちになるのか」を細かく再現して確認し、「その時の気持ちはこういう感覚ですか」などとフィードバックしながら理解を深めていきます。

「共感」は、その人を理解するために、大変重要な要素です。

子供の頃「あの時、自分の気持ちを理解してもらえなかった」、という経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
特に「○○ちゃんは、□□だよね」と勝手に決めつけられると、説明や反論が難しい子供にとっては、傷ついたり、人間不信に陥る危険があります。

親子においてはもっと重要です。
例えば、幼い子供がおもちゃを床に叩きつけて壊したとします。

母親A:子供の行動を見て(事情を聴かずに)叱りつける
母親B:何があったのか事情を聴いて、その子の気持ちに意識を向ける

子供はおもちゃを壊すのが目的ではなく、叩きつけたくなる気持ちが先にあったはずです。
その気持ちを「共感」し理解した上で、行った行為を注意すれば、子供は聞く耳を持ちます。

もしその気持ちを置き去りにして、行動面だけを指摘すれば、「お母さんは自分の気持ちを理解してくれない」という母親像が構築されてしまいます。

仕事の上でも「共感」は重要です。
私が以前勤めていた会社で、よくこんな経験をしました。

定例の会議で仕事の成果をレポートにまとめて報告すると、他部署の人は「凄いですねー」とか「良かったですねー」(本音の意見)などと褒めてもらう事があります。

しかし、私は心の中で「いや、これ全然良くない。むしろ悪い結果なのに…」と、感覚が全くずれていることに落胆しました。
「この人全く分かってないな」という状況になると、それ以上話をしたくなくなります。
仕事が分かっている同僚でさえこんな調子では、取引先やお客様の気持ちがどこまで理解できるのか心配です。

「共感」するためには

共感的理解
カウンセリングの大家であるカール・ロジャーズは、「共感的理解」として、次のように提唱しています。

「相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする」

まずは相手に寄り添い、相手の世界で生きてみる。
その人の関心、立場、能力、状況を一緒に考え感じてみる。そして理解していく。
これが「共感的理解」です。

例えば相手が「悩んでいる」とします。
話を聴いて分かった気になるのではなく、可能な限りそれを再現して体験してみます。その人に成りきって、演じてみます。

そうすると、話を聴いて感じたものとのギャップがあることに気づくはずです。
そもそも積極的に「共感」するつもりがなかった事に気づくこともあります。

「分かる。私もそういうことがあった」は、自分中心に考える(感じる)癖です。
この癖を直すためには、相手の立場に立って「共感」することを意識的に実践していく必要があります。

「共感」できない場合

関心
「共感」できない人、「共感」できない事は沢山あると思います。

例えば反社会的な考えを持つ人など、無理して共感する必要はありません。

その場合は、「どうしてそのような考えを持つようになったのか」に関心を持って聴くことから始めます。

考えや行動に同意できなくても「そうせざるを得ない事情」が分かれば、最終的にその一点において共感できるかもしれません。

相手に関心を持ち、さらにその人の関心に関心を持ちます。
コーチングは、質問のスキルよりも関心を持つことがより重要です。

文責:相澤雅夫
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