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皆さまこんにちは。
「ADPAニュースレター」2019年9月号(Vol.016)をお届けします。
まずは先回のペーシングです。

…NLPでは心身の状態のことを「ステート」と言います。
私たちは、どんな能力・才能を持っているかよりも、それらを発揮できるかどうかの方がより重要で、そのカギは「ステート」にかかっていると考えます。
「ステート」は、「身体」「言葉」「意識」の3要素を一つひとつ意図的に変化させることによって、コントロールすることが可能になります…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
https://adpa.site/news_letter/

今回のテーマは「傾聴のスキル」です。

積極的傾聴(Active Listening)

積極的傾聴
傾聴の大切さについては、以下のページに書きました。
傾聴:https://adpa.site/coaching/active-listening/active-listening/

今回は、傾聴のスキルについてご紹介します。
カウンセリングやコーチングで言う「傾聴」は、ただ黙って話を聴くことではありません。
「積極的傾聴(Active Listening)」を提唱したカール・ロジャーズは、聴く側の3要素として次の3つを挙げています。
  1. 共感的理解
    相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
  2. 肯定的関心
    相手の話を善悪や好き嫌いの評価を入れずに聴く。なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。
  3. 自己一致
    相手に対しても自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は真意を確認する。分からないことをそのままにしておかない。

傾聴のスキル

傾聴
具体的なスキルとして、以下の方法があります。
  • あいづち
    「うなずき」や「あいづち」を入れながら聴きます。
    相手の話や気持ちなどを「受け止めている」「理解している」という態度を示すことになります。
  • バックトラック
    相手の使った言葉をそのままオウム返しすることです。
    特に重要なキーワードを返すと、相手はそのことについて考えを深めたり、話を次の段階へ進めることができます。
    「何だか寂しい感じがしました」→「寂しい感じがするんですね」
  • 要約
    上手に話せない方や本人も何が言いたいのか不明瞭な場合は、ポイントを整理して返してあげます。
    「つまり○○ということですね」
  • 反映
    相手が言葉で表現していなくても、背後にある感情に寄り添い、その気持ちを鏡のように返してあげます。
    「それは、寂しいですね」

自分の価値観を捨てる

価値観
上記のような聴き方をするためには、自分をニュートラルな状態にし、可能な限り自分の価値観を手放す(又は保留にする)必要があります。

価値観を維持しながら話を聴くと、相手の考え方や行動に対して「評価」するようになり、「善悪」や「好き嫌い」が生じます。
そのような聴き方は、仮に態度に表さなくても相手には波動が伝わり、相手は心を開いて話をすることが難しくなくなります。

以下、傾聴の禁止事項です。
  • 批判しない
    明らかに間違った考え方であっても、一旦受け止め「何故、そのような考え方を持つようになったのか」に関心を持つ。
  • 同情しない
    感性は人それぞれで、「可哀想」と思うのは、私の経験や価値観に基づく気持ち。「相手はどう感じたのか」に意識を向ける。
  • アドバイスしない
    「その場合はこうすれば良い」と教えたくなっても、相手が求めているとは限らない。あくまでも相手の意向を伺う。
  • 褒めない
    「褒める」というのは、私の評価基準で一部の能力を認めるということ。
    もし相手が「何かを達成して喜んでいる」場合は、その気持ちに共感し、共に喜んであげる。
  • 評価しない
    仕事や研修でのコミュニケーションには「評価」が必要ですが、自由に話をしてもらうための「傾聴」には「評価」は必要ない。

傾聴するための「質問」

日常会話
冒頭で述べた「聴く側の3要素」に「自己一致」があります。

これは、自分自身のステート(心身の状態)を理解していて、自分の内面と言動が一致し、自然体で相手に接している状態です。

もし、相手の話に不明な点がある場合、私の心理状態が変化し、自己一致が難しくなることがあります。
「質問」は相手を理解するためにも、自己一致のためにも必要な要素です。

実は、人が話している内容を厳密に見てみると、意味の分からないことだらけです。

私たちが普段よく行う日常会話は、分かったつもりで聞いていたり、分からなくても遠慮してそれ以上追求しなかったり、そもそも関心がないからスルーしたり、で成り立っているケースが多くあります。

コーチングの場合は、コーチが分かったつもりで話を進めてしまうと、クライアントの深い思いに到達できなかったり、気づきが生まれなくなってしまいます。

簡単な事例で確認していきます。

人にラベルを貼らない

人にラベルを貼らない
会話例
cl:クライアント co:コーチ

cl:「最近元気が出ないんです」
co_a:「そうですか、夏バテですかねー」→NG(私の解釈)
co_b:「私も最近疲れてます」→NG(自分の話)
co_c:「どういうことですか」→OK

cl:「会社に行くのが憂鬱なんです」
co_a:「会社に問題があるんですか?」→NG(原因論)
co_b:「まぁ、そういう事もありますよ」→NG(本人の気持ちに寄り添ってない)
co_c:「詳しく教えてください」→OK

cl:「プレゼンを引き受けたんですが、私は人前で話すのが苦手なんです」
co_a:「○○さんなら、大丈夫ですよ」→NG(励ましているつもりが逆効果)
co_b:「苦手なんですか、それは困りましたね」→NG(相手の言葉を鵜呑みにして一緒に悩む)
co_c:「苦手だと思っているんですね」→OK

分かりやすくするために極端な会話にしていますが、co_cコーチのように、曖昧な表現には「分かったつもりにならず」詳しく話してもらうための声掛けをします。その結果「プレゼン」の話が出てきました。

「プレゼン」の会話では、co_a、co_bのコーチは「話すのが苦手」を前提に言葉を返していますが、co_cコーチは「こういう人」というラベルをクライアントに貼らずに、「どうしてそう思うのか」に関心をもって質問しています。
こうすることで、クライアントの背後にある価値観や深層心理が出てくるようになります。

コーチは相手の話を鵜呑みにせず、「良い意味で疑い」、現場検証をするようなつもりで必要な情報を丁寧に「質問」していきます。

「質問」は、自分の考えを中心に理詰めで聞いていくと尋問になってしまいます。
「傾聴」するための「質問」は、あくまでも「共感的理解」と「肯定的関心」を土台とすることが重要です。
文責:相澤雅夫
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