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皆さまこんにちは。
「ADPAニュースレター」2019年8月号(Vol.015)をお届けします。
まずは先回のペーシングです。

…私たちは何かを変えたいと思う時に、ダメな所・出来ていない所、その原因に目を向けて、「それを変えることが先決だ」と思いがちです。
しかし、アドラーは「原因論」を否定します。
「人間の行動には全て目的がある」これがアドラーの「目的論」です。

「原因があってそうなった」のではなく、「目的があるからそうしている」ということです。

「目的論」に立脚したコーチは「そもそも何のため?」「本当はどうなりたい?」「何が大事なの?」という問いかけをします。

本当の目的を知ることができれば、新しい生き方を選択することが可能になります。
「本当にそうなりたい」「絶対それがしたい」と心から願えば、人間は変われます。
本当の目的を知ることが何よりも重要です…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
https://adpa.site/news_letter/

今回のテーマは「ステート・マネジメント」です。

ステートとは

ステート
NLPでは心身の状態のことを「ステート」と言います。

穏やかな気持ちや身体の調子が良い時と、悲しい気持ちだったり身体の具合が悪い時とでは、同じことをしていても結果が違ってきます。

似ている言葉に「コンディション」があります。
「コンディション」と言うと、身体の調子とか外的な環境に関して、それが良いとか悪いとか、評価を含めて使う場合が多いと思います。

「ステート」は他人が評価するものではなく、あくまでも状態を指していう言葉で、今どんな「ステート」なのか、本人にとって適切な「ステート」にするためには何が必要か…という観点で用います。

パフォーマンスはステートで決まる

アスリート
誰でも、うれしい時・楽しい時、やりがいを感じてハツラツと活動している時は、エネルギーが湧いてくるし能力を発揮することができます。

このような心身の状態は望ましい「ステート」と言えるでしょう。

逆に、何か辛い出来事があったり、不安を抱えていると、仕事が手につかなかったり、極度な緊張やストレスを感じていると正しい判断ができなくなったり、身体が思うように動けなくなったりします。
「ステート」がマイナスの位置にあると言えるでしょう。

アスリートの例で言うと、本番で最高のパフォーマンスを発揮して結果を残すか、本番では持っている力を発揮できず悔いを残すか、この違いは「ステート」によるものだと思います。

私たちは、どんな能力・才能を持っているかよりも、それらを発揮できるかどうかの方がより重要で、そのカギは「ステート」にかかっていると考えます。

ステートをコントロールする

目的論
多くの人は、このような「ステート」を意識的に変えることは難しいと考えているようです。

「私はこういう性格だから」とか、「これは得意でこれは苦手」などのセルフイメージが理由だと思います。
しかし「ステート」を分析すれば、その構成要素が明らかになり、それらを変えていくことによって、ある程度自分の望む状態に変化させることが可能になります。
「ステート」をコントロールする事を「ステート・マネジメント」と言います。

「ステート・マネジメント」は、主に「身体」「言葉」「意識」、この3つの要素で考えていきます。

例えば過去の経験で、とても上手くいったとき、願った通りの結果が出たとき、とても集中できたとき、心から嬉しかった瞬間等々、今から作りたい「ステート」(状態)に相応しい場面を思い出します。

そして、その時の自分の状態がどうだったのか、それぞれの項目について確認します。
  • 身体の状態:姿勢・動き・表情・重心・力の加減など
  • 言葉の使い方:どんな言葉、フレーズを使ったか、又は心の中でつぶやいたか
  • 意識とイメージ:どこに意識を向けていたか、何を見て・何を聴いて・何を感じていたのか
これらの要素を、一つひとつ再現して「ステート」の変化を感じてみます。

プレゼンで緊張するAさん

PCとメモ
具体的な事例で考えてみます。

入社2年目のAさんは、取引先の会社でプレゼンをすることになりました。

大手企業の役員・幹部が集まる中で、契約が取れるかどうかは、Aさんのプレゼンにかかっています。
元々人前で話をするのが苦手なAさんは、次のような「ステート」になります。

  • 身体の状態:肩に力が入ってガチガチ、堅い表情、呼吸が浅い、ドキドキ
  • 言葉の使い方:「失敗したらどうしよう」「やっぱり辞退すればよかった」などの心のつぶやき、資料の棒読み、何を話しているのか自分でも分からずしどろもどろ
  • 意識とイメージ:腕組みしている人が怖そうに見える、帰ったら部長に怒られる
それぞれの要素を次のように変えてみます。

  • 身体の状態:例えば過去に「家族と森林浴に行って、とてもリラックスできた」時の身体の状態を再現します。
     → 胸を広げて深呼吸、笑顔、ゆったりとした歩調、周りの美しい景色を見渡して感動する
  • 言葉の使い方:過去に「堂々と発言して、皆が納得してくれた」時の「言葉遣い」「喋り方」、又はその時の心の声を再現してみます。
     → 「自信を持って提案」「上手くいくことを確信」「貴重な体験が出来て嬉しい」「皆が喜んでくれることが楽しみ」など、目的に向かって役に立ちそうな言葉を使う
  • 意識とイメージ:上記「森林浴」であれば、「遠くの山々が美しかった」「鳥のさえずりが聴こえた」「風が心地よく吹いていた」などを思い出し、五感で味わってみる。その感覚を持ったまま現実的には、自分の話を好意的に受け止めてくれる人に意識を向ける、「よし、このポイントは上手に説明できた」等、現状上手くいっていることに意識を向ける

    心と身体は繋がっているため、「身体」と「言葉」を、たとえ気持ちが乗っていなくても形から入ることで、心の状態は変わっていきます。
    3つ目の意識とイメージは、「好きな絵を観る」「好きな音楽を聴く」「美味しいものを食べる」「好きな香りを嗅ぐ」などと同様に、どのような状況でもどこに意識を向けるか、によって心の状態を意図的に変えることができます。
このように「ステート」は、構成要素を一つひとつ意図的に変化させることによって、コントロールすることが可能になります。

モデリング

steve-jobs
NLPにはもう一つユニークな方法があります。
理想のモデルをお手本にする「モデリング」という手法です。

例えば、もし自分が「スティーブ・ジョブズ」だったら、今日のこのプレゼンはどうするのか、という意識で自分に取り入れていきます。
「最初は何も喋らず、会場全体を見渡して微笑む」「ゆっくり間を取りながら『2年半、この日を待ち続けていた』などのように、このプレゼンがどれほどの価値があるのか冒頭で伝える」等々、初めは外的な側面から真似をしていきます。

しかし、ただの「モノマネ」では自分のものになりません。
言葉や態度の背景にどのような価値観や信念があるのか、外的な情報をモデリングしながら、内的な情報も感じ取れるようにしていきます。

「スティーブ・ジョブズ」であれば、「革命的な製品を世に送り出す」「この内容は必ず人の役に立つ」という信念に基づいているはずです。
「外的なモデリング」も役に立ちますが、そこから「内的なモデリング」を深めることによって、自分の目指している目的に相応しい「ステート」が定まるのではないでしょうか。

文責:相澤雅夫
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