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皆さまこんにちは。
「ADPAニュースレター」2020年8月号(Vol.027)をお届けします。
まずは先回のペーシングです。

……「過去と他人は変えられない。しかし、いまここから始まる未来と自分は変えられる。」交流分析開発者エリック・バーンの有名な言葉です。
確かにもっともな話でその通りだと思います。
しかし「過去も他人も変えられる」のがコーチングのさらに素晴らしいところだと思います…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
https://adpa.site/coaching/past_and_people/

今回のテーマは「チャンキング」です。

チャンキングとは?

チャンク(chunk)は、英語で「かたまり」という意味です。

食材で、お肉のぶつ切りやバターのかたまりを指したり、ITの世界では、ひとまとまりになったデータを指したりします。

チャンキングとは、物事を細かくしたり、細かいものをまとめたり、横にずらしたりすることによって、対象のイメージを具体的にしたり、目的や意味を明確にしたり、選択肢を広げたりする思考のスキルです。

チャンクアップとチャンクダウン

木
1本の「木」を見る場合、より小さなかたまりとして、「葉」「枝」「幹」「根」のように分けられます。
これを「チャンクダウン」と言います。

より大きなかたまりとしては、「林」「森」「国土」「地球」のように表現することもできます。
これをチャンクアップと言います。

木は木でも、周辺に「ケヤキ」「ブナ」「ヒノキ」など別の種類があれば、視点を横にずらして見ることができます。
これを水平チャンクと言います。

「木を見て森を見ず」ということわざがあるように、細かいことにこだわりすぎて、全体像や本質を見失いそうな時は、チャンクアップすること、逆に、漠然とした夢や理想、抽象的な話などは、チャンクダウンすることで、物事の捉え方を変化させることができます。

ニューロ・ロジカル・レベル

ニューロ・ロジカル・レベル
簡単な事例で考えてみます。

例):車が欲しい

◇ チャンクアップ
  • どうして車が欲しいですか?
  • 車が手に入ったらどうなりますか?
  • それにはどんな価値がありますか?
◇ チャンクダウン
  • どんな車が欲しい?
  • いつ頃
  • 資金は
  • 選ぶポイントは?
◇ 水平チャンク
  • 他にも欲しい車種がある?
  • 欲しいのは車だけ?
この事例は、以前ご紹介した「ニューロ・ロジカル・レベル」の丁度中間から見て、チャンクアップは「信念・価値観(Why)」から上を、チャンクダウンは「能力(How)」から下を、考えてみることになります。

この事例の場合は、以下のようになります。
車が欲しいのは何故(Why)→チャンクアップ。
車をどのように手に入れる(How)→チャンクダウン。

ニューロ・ロジカル・レベル(人間の意識の6段階)
https://adpa.site/nlp/neuro-logical-level/human_consciousness/

チャンキングを質問に活用

エチオピア
「チャンクアップ」「チャンクダウン」を質問に活用してみます。

cl:クライアント
co:コーチ

◇ チャンクアップ
cl:そろそろ受験勉強しないといけないけど、やる気が出ないんです。
co:そうですか、やる気が出ないんですねー。
目指している大学などはあるんですか?
cl:まだはっきりしていませんが、親が「まともな大学を出ないと就職は厳しいぞ」なんて言うので、プレッシャーを感じてます。
co:プレッシャーを感じるんですねー。
ところでSさんは、将来どんな事をやってみたいですか? 仕事と関係なくてもOKです。
cl:そうですね、世界中を旅してみたいですね。
co:いいですね。旅先でどのように過ごしたいですか?
cl:観光地もいいけど、現地の人の普通の生活ぶりを見てみたいです。
co:実際外国に行ったつもりで、現地の生活ぶりをイメージしてみてください。
どんな様子が見えますか?
cl:貧しくて、インフラも整っていない不便な生活です。
でも子供たちは目がキラキラしていて、道端でサッカーをしているイメージが浮かびました。
co:Sさんは、そこで何をしていますか?
cl:子供たちと一緒に遊んだり、家族に招待されて一緒に食事をしています。
co:Sさんが、その国の人たちにしてあげられることって何ですか?
cl:学校に行けない子もいるので、勉強を教えてあげたり、井戸掘りをして、水を汲めるようにしてあげられたらいいなー。
co:Sさんは、そういう事を仕事にしたいですか?
あー、考えたことなかったけど、それが仕事に繋がるんだったら、やってみたいですね。

◇ チャンクダウン
co:それを仕事にするためには、どんな方法がありますか?
cl:自分一人では限界があるので、そのような活動をしている団体、又は企業に勤める方法ですかね。もし無ければ、自分で起業するしかないかな。
co:その仕事をするためには、何が必要ですか?
cl:まず、現地の人と自由に会話ができるように、外国語を身に付けないといけないですね。
co:それ以外には、どんな要素が必要ですか?
cl:日本人として外国で仕事をするわけですから、政治・経済などの国際情勢を知っておくべきでしょうね。その国の宗教や思想、民族的な伝統のようなものも知っておいた方がいいかもしれないですね。
co:「日本人として」ということろをもう少し詳しく教えてください。
cl:日本という国は、経済的に恵まれているし、ある程度の教育水準や技術力もあると思うので、「もっと国際社会に貢献した方が良い」と、以前何かのテレビ番組を見て考えたことがあります。
でも、「自分に何ができるのか、今は全く分からない」っていう感じです。
co:Sさんがそのような知識や技術を学べるところは、どこにありますか?
…以降、どんな大学、どんな学部があるかなどの話へ。

この事例のように、受験勉強を一旦「チャンクアップ」して、「本当は何がしたい」という上位の「チャンク」を聴き、「そのために何が必要」と「チャンクダウン」することによって、「何のための受験勉強」かを考えてもらうきっかけを作れます。

チャンキングを上手に使うと、本来の目的を明らかにしたり、実現するための具体策を出したり、他の選択肢と比較したりして、思考をスッキリ整理することができます。

文責:相澤雅夫
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