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皆さまこんにちは。
「ADPAニュースレター」2020年2月号(Vol.021)をお届けします。
まずは先回のペーシングです。

……コーチングの基本「GROWモデル」の後、具体的に何をしたのか(行動)、その結果「どうなったのか」(観察)、この2点を確認することも大切なプロセスになります。
「行動」
・(Goal・Optionに対して)何をしましたか?

「観察」
・やってみてどうでしたか?
・結果から何が分かりましたか?(学び)

「次の行動」
・(学んだ結果)次は何をしますか?

上記「行動」⇔「観察」のサイクルを回していくためには、「勇気づけ」が必要です…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
https://adpa.site/coaching/grow-model/encouragement/

今回のテーマは「ACTモデル」です。

ACT:認知行動療法

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認知行動療法にACTという手法があります。

ACTとは、acceptance and commitment therapy(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の略称で、「アクト
と発音されています。
簡単に言うと、自分の負の感情を受け入れ(Accept)、今、ここにある自分をきちんと感じ(mindful)、自分の価値観を明らかにしたうえで行動の指針に沿うことを決定(commit)し、生活していくというものです。

負の感情を理論で修正しようとする初期の認知行動療法に対して、負の感情をまず受け入れることが大切としているACTは、コーチングに近い概念を感じます。

知覚・信頼・選択

テニス
インナー・ゲームで有名なティモシー・ガルウェイは、コーチング法を3つのシンプルな言葉に集約してます。
「知覚」「信頼」「選択」です。

□ 知覚
ガルウェイがテニスのコーチをする際に、「知覚力の自修作用」を活用していました。
例えばバックハンドが苦手な選手に、「それを直すのはしばらくお預けにして、飛んでくるボールを観察してみよう」「ラケットがボールを打つ瞬間、ボールは上昇中なのか、水平飛行なのか、下降中なのか、見極めて欲しい」。

選手がボールを観察することに集中すると、それまでの技術的な問題がたちどころに消えていったそうです。
つまり観察に集中することで「ありのままに見る(指示や評価する自分を忘れる)」ことができ、自然に課題が修正されていきます。
これを「知覚の自修作用」と言います。

□ 信頼
「無意識の自動運転」でお伝えしたように、人間の無意識には最高の力があり「叡智」に繋がっています。
「信頼」というのは、「私の中にこの無意識があること」、「私(意識)は、この局面で無意識を選択できる」ことに対する信頼です。

□ 選択
ガルウェイもテニスの指導方法が「教える」から「考えてもらう」に変わりました。
人間は他者から強制されるより、自分で選んだことの方に興味・関心があり、集中できます。高い集中状態の時に最高の力が発揮できます。
コーチングで、クライアントに選択してもらう方法をとるのはこのためです。

ACT:コーチング

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NLPのトレーナーである山崎啓支氏も、自身のプログラムの中で「知覚」「信頼」「選択」を強調し、コーチングには「無意識の自動運転」が欠かせない、と述べています。

また、アドラー派のコーチである宮越大樹氏は、コーチングのACTモデルとして、次のような定義をしています。
A = Awareness:観察
C = Choice:選択
T = Trust:信頼

知覚と観察との言葉の違いはありますが、コーチングにおいて大切な3要素として覚えておくと良いでしょう。

以下、主に対人支援の立場で説明しますが、自分自身に対する見方も同様の考え方です。

観察・選択・信頼

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□ 観察
相手の状況を先入観なく観察することです。
もし出来事に対して「上手くいった」とか「失敗した」などの表現があっても、その見方とは別に、実際何があったのか現場検証するようなつもりで丁寧に聴きます。
例えば、以下のポイントを確認します。
  • 何を
  • どういう環境・関係性の中で
  • どういうやり方で
  • 行った結果、どうなったのか
さらに大切なのは、「それに対してどう思ったのか」「何を感じたのか」を聴きながら、相手の中で何が起こっているのかをコーチが感じ取ることです。

□ 選択
「観察」を踏まえて、次は何をするのか選択していくことです。
行動や出来事の結果、上手くいってもいかなくても、観察することによって得られる気づきや学びがあります。学んだ結果、次の行動への選択肢が増え、確実に成長に繋がります。
「観察」→次の行動を「選択」→その結果を「観察」→次の行動を「選択」…。
このサイクルを回していきます。

□ 信頼
目の前にいる相手は「必ず出来るようになっている」と信頼することです。
また、自分に対しては「絶対必要な対応が出来る」と信頼することです。
つまり「無意識を信頼する」ということです。

そもそも人間が「これをやりたい」と感じていることは、潜在的に「できる」と信じているからだと言われています。
また、全ての出来事には必ず目的があり、その背景には必ず「肯定的な意図」があります。

「観察」し「選択」するためには「信頼」の土台が必要です。
相手も自分も信頼し、「観察」「選択」を繰り返すことによって、目的地に近づいていきます。

GACTモデル

GACTモデル
ACTモデルが必要な理由は、求めているゴール(目的)があるからです。

やりたい事、なりたい状態、手に入れたいもの等のゴールに対して、今の状況を「観察」し、何をしたらゴールに近づくのか「選択」します。
そしてこれをする上で大切な要素が、ゴールに到達できることを「信頼」していることです。

ゴール=Gをプラスして「GACTモデル」と覚えても良いでしょう。



文責:相澤雅夫
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