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皆さまこんにちは。
「ADPAニュースレター」2022年7月号(Vol.051)をお届けします。

まずは先回のペーシングです。

感情には「一次感情」と「二次感情」があり、「怒り」は二次感情に分類されます。

不安、寂しさ、落胆、悔しさ、心配などの「一次感情」が満たされない時に、怒りという「二次感情」を使って対応しようとすることがあります…。

詳しくはアーカイブをご覧ください。
https://adpa.site/emotion/anger/an-indelible-grudge/

今回のテーマは「アドラーの三角柱」です。

最もコーチングしてみたい人

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安倍晋三・元総理大臣が逝去されました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

私はコーチとして、最もコーチングをしてみたい方の一人でした。

「日本を取り戻す」「美しい国日本」
など、明確なビジョンを持ち、地球儀を俯瞰する外交など日本の存在感を世界に示した稀有なリーダーに対するコーチングは、きっと世界規模のテーマで最高にエキサイティングなセッションになるだろう、と勝手に妄想してワクワクしたものです。

それが叶わぬ夢となり、今でも深い悲しみと喪失感は消えることがありません。

犯行動機

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さて今回は、事件を起こした山上容疑者について考えてみたいと思います。

実際には、司法解剖の結果が曖昧で、「山上容疑者が2発目を撃つ前に右鎖骨上首元から入射している弾丸があり、これは山上容疑者が撃てる角度ではない」
という説もありますが、本日のテーマ

    から外れるのでここでは保留にします。

    山上容疑者は犯行動機について「母親が宗教団体にのめりこみ破産した。家庭をめちゃくちゃにした団体を、安倍氏が国内に広めたと思って狙った」と供述しています。

    日本のマスメディアは、「この宗教団体が遠因ではないか」という論調で報道しています。

    コーチとして気になるのは「この人はどんな思考で生きているのか」「どんな人生観なのか」というところです。

    そしてアドラーの三角柱を思い出しました。

    アドラーの三角柱

    三角錐
    これは岸見先生の著書「幸せになる勇気」に書かれている内容で、実際アドラーが示したものではありませんが、簡単にご紹介します。

    三角柱のそれぞれの面に書かれているのは次の三つです。
    • 悪いあの人
    • かわいそうな私
    • これからどうするか
    カウンセリングに来る人の相談は上の二つに終始することが多いそうです。

    カウンセラーは、この三角柱を相談者に渡し、「どの話をしても構わないので、これから話す内容を正面に向けるように」と指示すると、多くの人が3つめの「これからどうするか」ついて語り始める、というものです。

    自分がこんな目に遭うのはあいつのせいだ、あの人が悪い、社会が悪い、という思考に支配され、耐えられなくなると自分を攻撃するか、他人を攻撃するか、どちらかの行動にエスカレートしていきます。

    山上容疑者に限らず、過去の事件の犯人にはこのような精神構造が見られます。

    三つ目の思考「これからどうするか」は、問題の解決だけではなく、自分は自分の人生をどう生きたいのか、どう生きるのが私の幸せなのか、私は人生の主人公である、という観点からくるものであって、これが容疑者には欠落しています。

    悪い人をやっつけたところで、それが私の人生の目的ではないし、私の本当の幸せにはならないということは、もし冷静に考えることができれば分かるはずです。

    私たちも他人事ではなく、「私はこんなに大変なんだ」「あの人にこんなことされた」という話を誰かにしていないでしょうか?

    大切なのは「これからどうするか」「私には何ができるか」を考えることです。

    家族間のコミュニケーション

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    もう一つは容疑者の母親についてです。

    もし誰かが「これからどうする」という問いかけを山上容疑者にしても、そんなことは考えられないほど追い詰められた精神状態であっただろうと想像できます。

    大切なのは「これからどうするか」
    であると言いましたが、コーチングのプロセスとしては「悪いあの人」「かわいそうな私」と思っている気持ちをまず受け止めてあげる人が必要です。

    「誰かが悪い」に同調するのではなく「そんなことがあったんだね」「辛いね」「悲しいね」と、その人の気持ちを共感してあげれば、その上で「これからどうする」を考えることができる素地ができます。

    もし、山上容疑者の周辺にこのような人がいてくれれば、こんな事件に発展することはなかったかもしれません。

    母親についてはあまり情報が出ていないので、詳しい言及は避けますが、家族間のコミュニケーションに問題があったことは容易に想像できます。

    自分の信仰や信念について家族に正しく伝えられなかったこと、家族の気持ちを深く理解できなかったこと、皆が納得できるようにこれからのことを家族で話し合えなかったこと、などが問題の本質ではないかと考えます。

    マスメディアが問題視する、某宗教団体への献金による破産という論点は、もし違法なことがあれば追求すべきですが、今回の事件の本質からは少しズレてしまうように感じます。同じような境遇の人が必ずしも同じ問題を抱える訳ではないからです。

    そしてマスメディアの報道を、アドラーの三角柱に当てはめてみると「悪い容疑者、母親、某宗教団体」「かわいそうな安倍元総理、遺族、私たち」となります。
    もしこれだけであれば、国民をミスリードしてしまいます。

    大切なのは「これからこの日本をどうするのか」「この容疑者のような若者の苦悩を減らすにはどうすれば良いのか」と言う観点で視聴者に提供していただくことを期待します。

    文責:相澤雅夫
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