コーチングのケーススタディとして、前回の記事「木綿のハンカチーフとアンコンシャス・バイアス」に登場した男性と女性を題材にします。
今回は女性に対して、架空のコーチングセッションを行います。
女性をA子さん、男性をB作さんという仮名、コーチをCOとします。
A子:元彼についての相談です。
彼は、就職が決まった後一人で上京して、私を置いてけぼりにしました。
全然会いに来てくれないんです。
CO:それで今はどうされているんですか?
A子:別れました。彼は東京で楽しそうに暮らしています。
※ コーチの疑問
- 「置いてけぼり」とは、一体どういう状況?
- 彼には、会う気がなかったのか、会えない状況だったのか? 会えないかわりに何かしたのか?
- 別れは合意なのか、誰が切り出したのか?
- 「東京で楽しそうに」のエピソードは具体的にどんなものがあるのか?
上記のような疑問が出てきますが、質問攻めはせずに、まずは傾聴します。
そして、A子さんがどうしたいのか、解決したいテーマがあるのか探ります。
ポジション・チェンジ
CO:そうだったんですね。A子さんは、今回のコーチングセッションでどんな成果が得られたら嬉しいですか?
A子:成果? あまり考えてなかったですが、何となく気になって、思い出すとモヤモヤして、前に進めない感じがするんです。
CO:この期間の出来事を、B作さんはどんな風に感じているんでしょうか?
A子:彼はあまり自分の事を話してくれませんでした。
東京で頑張っている様子は送ってきましたが…。
CO:それでは、B作さんに直接話を聞いてみましょうか?
※ ここからポジション・チェンジのコーチングセッション(詳しいスキルは省略)
- 椅子を2脚向かい合わせ、対面の椅子にB作さんが座っているイメージを持つ
- A子さんが言いたいこと・聞きたいことをB作さんに伝える
- A子さんは、B作さんの椅子に移動し、(B作さんになったつもりで)A子さんの話を聞いたB作さんの気持ちをA子さんに伝える
- A子さんは自分の椅子に戻り、B作さんからの言葉を聞く
コーチングによって相手を理解し関係性を修復
CO:何か分かったこと、気がついたことはありましたか?
A子:(泣きながら)彼が、そんなに私のことを思ってくれていたなんて、知りませんでした。
CO:B作さんは、どんな思いを伝えてきたんですか?
A子:「東京で一人前になったら、A子を呼んで結婚したかった。」
「A子は田舎で両親の世話をしながら苦労しているから、早く楽にしてあげたかった。」
「嫌じゃなければ、両親も一緒にこっちで暮らすのはどうかな、と考えていた。」
「きちんと伝えられなかったことを後悔してる。」
というメッセージが返ってきました(泣)
※ この後コーチは、A子さんがこれからどうしたいのか、じっくり聴きます。
コーチングによって、クライアントの憶測や思い込みを解き、相手の観点も含めて何が起こったのかを整理し、自分の本心に向き合い、これからの生き方を再考することができます。
ポジション・チェンジは、潜在意識の深い所まで入ることができれば、相手の考えが分かったり、疑問が解けたりします。
例えそれが真実でなかったとしても、二者の関係性を客観的に見ることができ、今後どうするのが良いのか本心が納得する最適解を得ることに繋がります。
次回は、B作さんのコーチングセッションをお届けします。
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