学習の5段階:無能から有能へ

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求の5段階説で有名ですが、学習の階層についても提唱しています。

次の4つのステップを学習の4段階と呼んでいます。

  1. 無意識的無能
  2. 意識的無能
  3. 意識的有能
  4. 無意識的有能

人間のあらゆる行動や振る舞い、能力面をこの4段階で説明できますが、ここでは簡単にコーチングのスキルで考えてみます。

マズロー・学習の4段階

成長の4段階

  1. 無意識的無能
    自分ができないことを、知らないレベルです。

    例えば「傾聴」が何故大切なのか知らない、考えたこともない、全く傾聴できていないのに「健康な耳さえあればちゃんと人の話は聞ける」と思い込んでいる人です。

  2. 意識的無能
    自分ができないことを知っていて、できないレベルです。

    例えばセミナーなどで「傾聴」の勉強をして、傾聴の効果や大切さを知り、「自分は全くできていなかった」ことを理解したが、どのように実践したら良いのか分からない状況です。

  3. 意識的有能
    意識すればできるレベルです。

    セミナーの座学だけでなく、実践的なトレーニングを積んで、「誰かに協力してもらえばできる」とか、マニュアルを手元に置いたり、集中して頑張ればなんとかできる、という状況です。

  4. 無意識的有能
    無意識的にできるレベルです。

    「傾聴」であれば、「今から傾聴しよう!」と意識しなくても、自然な振る舞いとして傾聴できている状況です。

能力が身についていて自分のものになっているのは、4段階目の「無意識的有能」であることは言うまでもありません。

企業などの研修で、良い話を聞いたけど、効果が出ない、能力が上がらないというケースは、知識を得るだけで終わってしまう2段階目のレベルか、そもそも受講者が何故私に必要なのか理解していない1段階目のレベルから脱していない状況が考えられます。

何かのスキルを習得しようとする際には、是非参考にしてください。

学習の5段階

学習の5段階実は、学習の階層には5段階目もあります。

  1. 無意識的有能に意識的有能
    無意識的に行っていることを、意識して人に教えることができるレベルです。

自分が出来ることと人に教えられることとは、夫々別の能力が必要になります。

5段階目のレベルに満たない残念なケースをご紹介します。

  • 学校や塾の先生:(自分は普通にこの問題が解けるのに)なんでこれが分からないの?
  • IT技術者が高齢者のお客様へ:まずはお客様のデバイスからクラウドにアクセスして、共有のディレクトリからアプリのインストーラーを実行してください

上記2つの例は、相手の能力がどの段階にあるのか理解せず、自分の能力レベルで要求している状況です。
コミュニケーションエラーの要因に多いケースです。

コーチングによる学習

コーチングによる学習卓越したコーチは、相手(クライアント)がどの段階の能力レベルにあるのか洞察し、適切な質問によって学習を促すことができます。

例えば、ある新任のプロジェクトマネージャーから、「いかに成功させるか」という相談を受けたとします。

一般的なキャリアアップのプロセスとしては、企業研修などで、マネジメントに関するスキルを学んだり、資格を取ったりします。
これは学習の4段階で言うと2段階目の「意識的無能」に当たります。

勿論これも学習の一つですが、一律的な内容で一人ひとりにカスタマイズされていません。

もしクライアントが、自分は何をしたら良いのか分からない場合、コーチは1段階目の「無意識的無能」に当たる質問をします。

「マネジメントって何だろう?」「リーダーとマネージャーの違いは?」「プロジェクトのゴールは?」「そのためにあなたが貢献できることは?」「何があれば成功できるだろう?」「会社があっと驚くあなたの成長ぶりは?」

クライアントはこれらの質問によって、自分は何が分かっていなかったのか、何を学べば良いのか、学ぶ動機がはっきりしてきます。

これによって2段階目、3段階目の学習が効果的に促進されていきます。

そして最終的に、4段階目の「無意識的有能」になるためには、繰り返し何度も実践する必要があります。

この段階でコーチが関わることができれば、よりコーチングの効果が期待できます。
クライアントが実際に行動した結果どうだったのか、その体験で何を学んだのか、その学びを活かして次はどうするのが良いか、これらの問いかけとクライアントの行動というサイクルを何度も回すことによって、着実にクライアントは目標や目的、夢に近づいていきます。

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