2011年の秋、小学6年の後半から、次女は、約2年間不登校でした。
なぜ、こんなことが起こるのかと焦り、妻を責め、子供にも「なぜ行かないのか」と強く当たりました。
昼夜逆転で、昼間寝て、夜起きるような生活が続きました。親も本当に精神的に追い込まれたのです。
感受性の豊かな子なので、人が言い争うことを聞くとまるで、自分に言われているように感じ、落ち込む子です。不登校の本当の理由は、本人もわからないと言います。
そんな行き詰まりの時に出会ったのが、「コーチング」でした。
「傾聴」「共感」「承認」を学び、いままでの自分の会話の主体を完全に入れ替え、子供の心に寄り添い傾聴するようになりました。
キーワードは、「ありのままに!」です。たとえ、子供が行かなくてもまずは、子供の存在そのものを受け入れ、生きていてくれるだけでOK。
たとえ、学校へ行かなくてもいい。この子が、元気に笑顔を取り戻せるにはどうしたらいいのかを夫婦で祈り、考え、取り組みました。
娘と山登りもしたし、犬が好きなのでレンタルしたり、ケーキ作りが好きなのでお菓子教室にも行かせました。チョコパフェも2人だけで食べに行きました。
子供に対する「要求心」がなくなりかけた頃、次女は、少しずつ学校に興味を持ち始め、仲のいい友人やカウンセラーの先生と個別に話すようになりました。
中1の冬休みから、不登校専門の家庭教師が見つかり英語や数学を勉強するようになりました。そこで思わぬ家庭教師の言葉が出て来たのです。
「この子、英語が伸びますよ」
もともと、国語は好きな子です。その先生の励ましもあり本人も「英語」の教科から学びはじめて、テストも英語だけ期末試験を受けられる程度まで行きました。しかし、教室には入れず、「保健室」で受けました。
親子の会話がかわりました。
学校の話はまったくせず、
「お菓子作りどうだった?」
「このお菓子、美味しいね。上手に作ってくれてありがとう」
「この映画面白いね」
「この歌手上手だね。なんていうの?」
「将来の夢は何?」
「今度何食べに行く?」
心に思うことをそのまま、娘に聴き「傾聴」していきました。
反応があるかないに関係なく、まずは受け止めようと心がけました。
すると中2の夏休み明けから、元気が出てきて、学校に行けるようになりました。学校に行く勇気が出てきたのです。
高圧的な態度で「〇〇せねばならない」と要求し、子供の心を無視して勇気をくじいていたのが親だと痛感しました。
それから1年、奇跡が起こるのです。
中3の夏休み、本人は、英語の弁論大会で学校の代表に選ばれて、名古屋市の大会で多くの人の前で英語のスピーチをしたのです。
題材は、不登校のことから立ち直ることを話しました。学校の先生も「よくここまで立ち直れた」と驚き、全校集会で「どんな時も、希望を捨てるな」と生徒たちを励ましたそうです。
どん底から中学生活が、始まりましたがなんとか回復して、高校受験で、見事志望校に合格しました。恐るべきV字回復です。
子どもは、心のエネルギーさえ、満タンになれば、自分で道を切り開くと思いました。
写真:Aleksandra Dolzhenkova
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