間違いだらけの自己肯定感

感情

間違いだらけの自己肯定感

インタビュー先日、ある日本の有名なアスリートへのインタビューで、自己肯定感について尋ねている動画を見ました。

その方は、自己肯定感についてやや否定的で、自己肯定感を気持ち悪いとも言っていました。

私はその話を聞きながら、かなり自己肯定感の意味を誤解していることと、その方がとても影響力のあるレジェンドのような存在だったので、これでまた間違った認識が広まってしまうかもしれないと感じ、とても残念な気持ちになりました。

この自己肯定感という言葉は、最近見聞きする機会が増えたように思いますが、誤った認識が少なくないようなので、ここでしっかりと整理しておきます。

少しでも、正しい人間理解に繋がれば幸いです。

自己肯定と自己肯定感は違う

自己肯定と自己肯定感は違うまず最初に、自己肯定と自己肯定感は違う、ということです。
先程のレジェンドの方は、これを混同していました。

アドラーは「自己肯定」を、「できないことでも『自分はできる』と言い聞かせること」と意味づけ、否定しています。

無理やりポジティブに考えようとすることは、自分に嘘をつくことになり、根底には「できない自分はダメなんだ」という自己否定があります。

それに対して「自己肯定感」は、「できない自分」も含めて、今の自分をまるごと受け入れることができるし、その上でどうしたら良いのかを肯定的に考えることができる感覚です。

自己肯定感の理解を深めるために、誤解されやすい言葉の例を次にご紹介します。

自己評価・自信

自己評価・自信◯ 自己評価
「私は賢い」「私はカッコイイ」は、自己評価が高い、「私はこれができない」「こんな自分ではダメ」は、自己評価が低い状態です。

自己評価が高いので、自分の人間としての価値も高いと感じるのは、必ずしも自己肯定感が高いからではなく、むしろ低い可能性すらあります。

自己肯定感が高い人は、ダメな自分も受け入れ、できる自分であっても傲慢になることはありません。

自己評価と自己肯定感は別のものです。

◯ 自信
何かが上手にできたり、褒められると自信が高まります。失敗や挫折を経験すると自信を失ったりします。

自信というのは自分の能力を信じている状態で、能力に頼った自分の価値です。

それに対して自己肯定感は、能力から見た自分の価値ではなく、自分の存在そのものに価値を感じるため、自信の土台になります。

自己肯定感の高い人は静かな自信を持っていて、もし何かができなくてもその現実を受け入れ、自分にできることを探します。

自己愛・自己正当化

自己愛・自己正当化◯ 自己愛
自己愛自体が悪いものではありません。

しかし、自己愛が過剰になると、自己顕示欲が強くなったり、自惚れやナルシストのように自己中心的になり、他者よりも優れた自分だけを愛するようになります。

逆に、自分の中に他者より劣る要素があれば、それを排除しようとしたり、他者を貶める思考や行動に走る人もいます。いわゆるマウンティングです。

これは、ありのままの自分を愛せない、自己肯定感が低い状態から生まれます。

自己肯定感が高い人は、今は理想の自分ではなくても、自分の存在そのものを尊重できるので、他者に対しても同様に尊重でき、自分も他人も愛することができます。

◯ 自己正当化
失敗した時に「私は悪くない」として他人や環境のせいにする「正当化」は、自己肯定感が低いために起こります。

「自分の非を認めない」「自分の間違いを受け入れられない」のは、自分を肯定できず、「間違える自分はダメ」という自己否定があります。

自己肯定感の高い人は、自分の行いと存在は分けて考えられるので、行動面での失敗を冷静に捉え、そこから学ぶことができる「ブレない存在の私」がいます。

自己受容と自分軸

自己受容と自分軸ここまで見てきたように、自己肯定感が高い人は自己評価が高いとか、傲慢、自信過剰、自己愛が強い人や、自己正当化する人は自己肯定感が高すぎる人、という考え方は間違いであることをご理解いただけると思います。

自己肯定感を構成する要素に自己受容があります。
自己受容というのは、ありのままの自分を受け入れることです。

ありのままなので、「良い・悪い」「好き・嫌い」などの評価はありません。

「つい自分を評価してしまう」という場合、その評価の基準はどこから来るのでしょうか?

「普通はこうだよね」と言う「普通」は、社会的なもの、一般的なもの、他者の意見が基準になってることがほとんどです。

これは、私が決めたものではなく、外部から来たもの、つまり他人軸と言えます。

自己肯定感が高い人の中には、自分軸があり、他者と比べて一喜一憂することはありません。
そして、自己受容と同様に、他者も受容することができるため、自己中心になることはありません。

また、自分のダメな部分も受け入れますが、「ダメが良い」と考えている訳ではありません。
受容した上で、自分軸に従って「ダメな所をどうしていくのか」と、しっかりと向き合い対応していけるのが、自己肯定感の高い人です。

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