2種類のコミュニケーションパターン
行動療法で有名なジョセフ・ウォルピは、人間のコミュニケーションパターンを次の2つに分けて説明しています。
- アグレッシブ:自分の意見を押し通す、人の事は気にしない、高圧的、攻撃的、話を丸め込もうとする
- ノンアグレッシブ:黙っている、遠慮する、言いたいことが言えない、我慢する、相手に依存する
この2つのパターンは、どちらもコミュニケーションが上手くいっていない状態です。
「アグレッシブ」タイプは、自分の主張を伝えるだけでなく、勝ち負けで物事を決めたり 相手より優位に立とうとします。
相手を尊重する気持ちに欠け、自分本位で幼稚な精神状態と言えるでしょう。
「ノンアグレッシブ」タイプは、相手を優先するという良い面もありますが、「自信が無い」「自分で決められない」「責任を負いたくない」「人の目を気にする」等々が根底に潜んでいる可能性があります。また、自分を主張しない生き方は精神的な負荷になります。
両者とも幸せではないし、信頼関係を築けないコミュニケーションパターです。
アサーションとは
アサーションは、自分の事も相手の事も大切にするコミュニケーションスキルです。
アサーション(assertion)という単語自体は、「主張」「断言」という意味ですが、強く自己主張する技術ではありません。
元々は精神医学や行動療法の領域において、人間的な尊厳を取り戻し、回復させる医療用語として使われ、現在は、相手を傷つけず、なおかつ自己主張は行うというコミュニケーションの定義として定着しています。
簡単な例で説明します。
レストランで、自分が注文した料理とは違うものが出てきた場合、あなたならどの様に対応しますか?
- 店員に文句を言う
- 何も言わず、出てきたものを食べる
- 店側に配慮しながら、取り替えてほしいと頼む
この場合は、3. がアサーティブなコミュニケーションになります。
アサーションとは、自分の事を大切にし、自分の気持ちをきちんと相手に伝えること、そして、相手のことも同様に大切にするコミュニケーションスキルです。
コーチングとの違い
全ての人間関係がコーチ・クライアントの関係で成り立つ訳ではありません。
コーチングスキルを身に付けた者であっても、家族や友人などの身近な人には自己主張する必要があり、理解してもらいたいと思っています。
アサーションは適切な自己主張の方法論です。
自分の気持ちに気が付いていて、それを相手にきちんと伝えられる。
そして、相手の考えや気持ちもしっかりと聴いてあげられる。
自分も相手も尊重するので対話が始まり、意見が違っていたら、お互いが納得できる方法を探る。
このようなアサーティブなコミュニケーションが取れれば、コーチングは必要ないかもしれません。
しかし、アサーションの土台となる自他尊重が無い場合は、コーチングを活用してください。
例えば
- 自分の本当の気持ちが分からない
- 自分の思い通りにならないと感情的になり、冷静な判断ができない
- 人が信用できない
- 自分はダメな人間だと思っている
これらが改善され、自分にもOK、相手にもOKが出せる状態になって初めてアサーティブなコミュニケーションをとることが可能になります。
コーチングによって、自然体で自由に発想し、自分の本当の気持ちに気が付き、自分も相手も尊重し、信頼することが出来れば、よりアサーティブなコミュニケーションが深まるのではないでしょうか。
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