カタ・ウパニシャッド

心理学

王様と馬車

カタ・ウパニシャッド

王様と馬車心理学の元祖とも言われる「カタ・ウパニシャッド」という教典があります。

これは古代インドの哲学ですが、この中に興味深い馬車の例え話があります。

その一部を(私なりの表現で)ご紹介いたします。

馬車は王様が行きたい場所へ行くための乗り物です。

馬車は、車体と、動力になる馬と、馬を操る御者とで構成されています。

王様が御者へ行き先を告げ、御者は手綱を使って馬を上手に走らせ、目的地に王様を連れていくのが正しい馬車の在り方です。

もし自由奔放な馬が、勝手に草を食べに行ったり、水を飲みに行ったり、走りたくないから座り込んでいたらどうでしょうか?

また、御者が悪い人で、王様を騙して危険な場所に連れて行ったらどうでしょうか?

そもそも、馬車に欠陥があって途中で車輪が外れてしまったら、それ以上走ることができません。

この馬車は1人の人間の姿を表しています。

馬車で説く人間の姿

カタ・ウパニシャッド

  • 王様 = 意識
  • 御者 = 知性
  • 手綱 = 思考
  • 馬 = 五感覚器官と感情
  • 馬車 = 身体

私たちが遭遇する望まない現実は、上述のように馬が勝手に好きな場所に行く様子に似ています。

何かを見たり聞いたりする五感情報から感情が動かされ、思考よりも感情を優先させて行動すると、環境に流されてしまうという状況に陥ります。

御者は王様の指示に従い、手綱を使って馬を上手にコントロールして目的地に馬車を移動させる。
これが、私が意図した通りに目的地に到達した状態です。

意識と思考の関係

瞑想この例え話で最も重要なポイントは、王様と御者は違う存在だということです。

私たちは、思考も私自身だと感じることが多いと思います。

しかし、私たちは意識的に嫌なことを考えるかといえば、そうではありません。

将来の不安とか、何かに対する恐怖などは、そのような思考を持とうと思わなくても勝手に浮かんできます。

意識よりも思考が優先して、それに基づいた行動をとる状況は、王様の命令に従わない御者と言えるでしょう。

あくまでも主人は王様であるように、意識が私の本体であって、それ以外は私の道具である、と理解することが大切です。

瞑想やマインドフルネスで「何も考えないことをする」「しかし意識ははっきりしていて、自分の状態に気がついている」というのは、意識と思考をしっかり分離できている状態です。

意識は私、それ以外は道具

意識と思考コーチングにおいても、「自分はそれについてどんな考えを持っているのか」「その時どんな気持ちなのか」と、自分の思考と感情を客観視して観察します。

そして、「その考えを持ってそのまま進むとどうなるのか」、「もっと役に立つ考え方はあるのか」など、意識を主体としてより良い方法を探ります。

「意識以外の要素は自分の道具であって、自由に選択できる」。この感覚でコーチングをすることで、大きな効果が得られます。

意識的に知性を持って思考を制御し、五感・感情・身体をコントロールすることで私が願う目的地に進んでいくことが可能になります。

まずは、意識が私自身であり、それ以外は私が使える道具であることに気がつくこと。
そして、知性と役に立つ思考を沢山持つこと。
最後に、身体をメンテナンスすることも怠らないようにしましょう。

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