感情

感情

感情との付き合い方

怒りを爆発させ、人を傷つけたり、人間関係を壊してしまった。
このように感情的になりやすい人は、後で後悔することがないように、「感情をいかにコントロールするか」が、大事なテーマになってきます。
コーチングやNLPでは感情をコントロールするスキルが多く紹介されています。
そのようなスキルを身に付けることも良い方法ですが、今回は、もっと感情そのものについて考えてみたいと思います。

感情と理性

赤ちゃん感情的になりやすい人と感情を表に出さない人がいます。
赤ちゃんが「お腹が空いた」や「眠たい」を泣いて知らせるように、心身が未成熟な幼い時期は、自分の状態を上手に伝える能力も未発達なため、感情をストレートに表します。

しかし大人になると、感情を押し殺して周りに合わせたり、特にビジネスの現場では、感情は切り捨てて、理性的・合理的な判断を求めらるケースが多いかもしれません。

何故なら「感情は原始的であり、理性によってコントロールされるべきである」という考え方が根強く残っているからです。

ところが近年の心理学や精神医学、経済行動学などによると、感情を押し殺すと理性が働かないという研究結果が発表されています。
感情はむしろ「理性を強化するもの」であり、感情は「意思決定するために不可欠」であるとされ、人が生み出す成果や幸福のすべてが、感情によって生まれているとも言われています。

EQ(感情知能)という分野では、感情を認知・理解・活用することで、判断力や推理力、論理的な思考力を高めることができる、と考えられています。
既に、組織開発や人材開発に取り入れられている事例もあります。

感情の目的

感情の目的人間の行動には全て目的があるように、感情にも目的があります。
そして必ずその背景には肯定的な意図があります。
次のような手順でその目的を探っていきます。

  1. 感情に対してコントロールしないようにする

    たとえネガティブな感情だとしても、無理やり抑えようとしないで、居場所を作ってあげます。
    人間社会に例えると、自分が嫌いなグループを力で抑え込んでも、抑圧されたグループは目的を果たすためにさらに力を増して反発したり暴動を起こすかもしれません。戦争にならないためには、お互いを尊重し受け入れます。
    理解できなくても、好きにならなくても良いので、ただ受け入れて居場所を作ってあげます。

  2. 感情を観察する

    人間には48種類の感情があると言われています。
    「あぁ、私は今こんな気持ちなんだなー」と、自分の内面にある感情を観察します。
    複数の感情が絡んでいる場合も、一つひとつの気持ちや感覚などが身体のどの辺りに感じるか、など丁寧に探し味わってみます。

  3. 感情についての理解を深めていく

    例えば「イライラしている」という場合、「何故あなたはそんなにイライラしているのか?」と別人格に問いかけるようなつもりで尋ねてみます。
    そうすると「身体の調子があまり良くない」とか「これをやらなければいけないのに、全然出来ていない」などの答えがかえってきます。ここでいう「イライラ」は第二感情です。
    第一感情は、上記の例で言うと、体の調子が良くないので「辛い」や「苦しい」など、やるべきことが出来ないので「焦る」や「不安」などがそれに当たります。そしてそれらの感情に対して、背景にある目的を見つけます。「身体をこういう状態にしたい」や「それをすることは自分にとってこのような意味がある」など、感情の背景には求めている何かが必ずあります。

肯定的意図

ジダン最後に一つの事例を紹介します。

2006年サッカーワールドカップの決勝戦はイタリア対フランスでした。

フランス代表の司令塔ジダン選手は、この大会を最後にサッカー選手としての引退を表明していました。
ジダンとしては現役最後の試合でもあり、優勝まであと一歩という最も重要な局面で大失態を演じます。
イタリア代表のマテラッツィ選手から暴言を吐かれ、その挑発に乗ってしまったジダンはマテラッツィを頭突きで倒してしまいました。

ジダンはレッドカードを受け退場、フランス代表はPK戦で敗れ、優勝を逃すばかりか、実に不名誉な結末で現役生活の幕を閉じました。

何故ジダンは、怒りを爆発させ攻撃的になってしまったのでしょうか?
この「怒り」の肯定的な意図を考えてみます。

後になってマテラッツィが発した言葉が、ジダンの母や姉を侮辱した言葉であったとされています。
ジダンはアルジェリア移民の二世であり、「差別的な言葉に我慢がならなかった」と語っています。

これは推測ですが、彼にとっての民族的な誇りと、最も大切にしている母とその家族を守りたい、愛すべき存在を汚したくない、という正義感が怒りの根底にある「肯定的な意図」ではないかと考えます。
「自分がしたことに対して後悔はない」と述べていることからも、彼にとってはアイデンティティに関わる問題であり、譲れない理由があったのかもしれません。

勿論彼の行為は、やってはいけないことです。
感情的になることと、感情を味わうこととは違います。

感情に支配されて行動するのではなく、感情が出てきたらその感情を観察し、その目的、さらに肯定的な意図は何か考えられるような習慣を持てるようになれば、私たちの人生はより豊かなものになるのではないでしょうか。

写真:“Zinedine Zidane, July 9 2006” by David Ruddell is licensed under CC BY 2.0Who’s in Zidane’s corner

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